「理論のOSI参照モデル」と「現場のTCP/IPモデル」はどう使い分ける?40代から学び直すネットワークの基本
OSI参照モデルの7階層を覚えたのに、次は「TCP/IPモデルの4階層」、しかも階層の名前も変わっている!
こんにちは、ハチイチです。
この記事は、40代からネットワークを学習するためにCCNA取得をめざす学習ブログです。初心者の目線で「つまずき」や「気づき」を書いています。
今回は、「TCP/IPモデル」について学習していきます。
- TCP/IPモデルとは、OSI参照モデルが「通信の仕組みを学ぶための世界共通の役割分担表(理論)」なのに対し、今のインターネットで実際に使われている「現場の実務ルール(実践)」のような4階層のルールです。
- TCP/IPモデルを学習すると、なぜメーカーや機器が違っても、当たり前のように通信できるのか理解できます。
この記事でわかること
- TCP・IPそれぞれが担っている役割と、名前の由来
- OSI参照モデルとTCP/IPモデルの関係
- 配送業者の7つの役割が、4つの階層にまとまる仕組み
- TCP/IPの4つの階層が、実際のネットワークで担っている役割
- TCPとUDPの使い分け、実際のサービスでの例
- 「エンドツーエンド」という考え方
- 「イーサネット」が指しているもの
- メーカーや機器が違っても通信できる理由
名前から考えてみる、TCP/IPモデル
学習を始めるまで、私は「プロトコル」という言葉すら知りませんでした。通信をするために、ここまで明確なルールが決められているとは思っていなかったのです。
TCP/IPモデルという名前は、「TCP」と「IP」という2つのプロトコル(ルール)から取られています。
インターネット上でのやり取りには無数のプロトコル(ルール)が使われていますが、その中でも中心的な役割を果たすのが「TCP」と「IP」の2つです。
- TCP(Transmission Control Protocol/トランスミッション・コントロール・プロトコル)
- データが壊れていないか、相手にちゃんと届いたかを確認する「管理係(梱包と品質管理)」の役割を持っています。
- IP(Internet Protocol/インターネット・プロトコル)
- IPアドレスという「住所」を使い、データをどの目的地へ届けるかを決める「配送係(住所と配送)」の役割です。
このように、ネットワーク通信において最も大切な「住所(IP)」と「届いたかの確認(TCP)」がセットになっているため、TCP/IPモデルと呼ばれています。
OSI参照モデルの「7つの役割」と、TCP/IPモデルの「4つの階層」がどちらも必要な理由
OSI参照モデルは、通信の役割を7つのステップに分けて考えるための、いわば理論上の役割分担表です。ISO(国際標準化機構)が定めたモデルで、通信のどこで何が行われているかを、細かく分けて考えるのに向いています。
TCP/IPモデルは、今のインターネットで実際に使われている通信ルールです。CCNAの学習でこの2つを両方学ぶのは、OSI参照モデルが「世界共通の役割分担表」として、TCP/IPモデルが「現場で実際に動いている通信ルール」として、それぞれ役割が違うからです。

配送業者の「7つの役割」が、4つの階層にまとまる
7つの役割は4つの階層に「統合」されている
7つの役割が、そのまま4つの階層に再整理されています。
- 上の3階層(第7〜5層)
- OSI参照モデルの「アプリケーション層」「プレゼンテーション層」「セッション層」は、TCP/IPモデルではまとめて「アプリケーション層」と呼ばれます。
- 真ん中の2階層(第4・3層)
- OSI参照モデルの「トランスポート層」は、TCP/IPモデルでも「トランスポート層」です。OSI参照モデルの「ネットワーク層」は、TCP/IPモデルでは「インターネット層」と呼ばれます。
- 下の2階層(第2・1層)
- OSI参照モデルの「データリンク層」と「物理層」は、TCP/IPモデルではまとめて「リンク層(ネットワークインターフェース層)」と呼ばれます。
TCP/IPモデルの4つの階層を、配送業者の仕事で見てみる
それぞれの役割を、配送業者の仕事に置き換えて見ていきます。
アプリケーション層:お客様が配送業者を選んで依頼し、伝票の形式を整え、担当ドライバーと連絡を取り合う役割です。
実際のネットワークでは、Webページの閲覧(HTTPS)など、私たちが直接操作するアプリやサービスが、ここにあたります。
メールもアプリケーション層の役割ですが、調べてみると送信は「SMTP」、受信は「POP3」というように使うプロトコルが違っていて驚きました。
トランスポート層:荷物に伝票番号を振り、確実に届いたかどうかを確認・追跡する役割です。
実際のネットワークでは、データを細かく分割し、確実性を優先するか速さを優先するかによって、使うルール(TCPまたはUDP)を切り替えています。
インターネット層:届け先の住所をもとに、どの経路で運ぶかを決める役割です。実際のネットワークでは、この「住所」にあたるIPアドレス(IP)をもとに、目的地までの経路を決めています。
リンク層:配送センターでの荷物の積み下ろしや区域ごとの受け渡し、そして実際に走るトラックや道路にあたる役割です。実際のネットワークでは、同じLAN内の機器同士でデータをやり取りする際のルール(イーサネット)に沿って、実際の通信が行われています。
TCPとUDP、配送プランのちがい
トランスポート層で決める「配送プラン」が、TCPとUDPです。
TCPは、データの確実性を保証する「信頼性重視」のプロトコルです。
配送業者の例え:追跡・再配達ありの確実な配送プランです。荷物が届いたかどうかを一つひとつ確認しながら進むため、多少時間がかかっても、確実に届けたい場面で使われます。Webページの閲覧(HTTPS)やメールの送受信(SMTP・POP3)・ファイルのダウンロード(FTP)など、1文字・1バイトも欠けてはいけない場面は「TCP」です。
私は、「UDPはいらないのでは」と思いました。配線工事では、品質はいつも「確実であること」が絶対条件でした。接続が不安定なままでは、施工不良になってしまいます。でも実際は、確認をしないことにもちゃんと理由がありました。
UDPは、データの転送速度やリアルタイム性を優先する「スピード重視」のプロトコルです。
配送業者の例え:投函するだけの速さ優先プランです。届いたかどうかの確認はしませんが、その分速く送れます。オンライン会議や動画視聴、オンラインゲームなど、多少データが欠けるより、リアルタイムで届くことの方が大事な場面で使われます。
TCPは「確実だけど遅い」、UDPは「速いけど不確実」と私は理解しました。
「エンドツーエンドの通信を確保する」とは?
エンドツーエンドとは、送信元(端)から宛先(端)までの通信全体を指す考え方です。もっと簡単に言うと、「途中の経路がどうであれ、最初から最後までデータを届けることに責任を持つ」ということです。
荷物の配送をお願いするとき、私たちは「途中でどの配送センターを経由して、どのようなルートで荷物が届くか」を意識しません。荷物を渡した瞬間から、受取人に届くまでの責任は、配送業者がまるごと引き受けてくれています。
結論:2つの層が協力して「最初から最後まで」責任を持つ
- トランスポート層(TCP):目的地(エンド)との間での「データの品質(届いたかどうか)」に責任を持つ。
- インターネット層(IP):目的地(エンド)までの「ルート」に責任を持つ。
- この2層があるおかげで、途中の経路を気にせず通信ができる。
同じ区域内の配送ルール、その名は「イーサネット」
現場では、LANケーブルは規格に合ったコネクタで正しく圧着する「モノ」として見てきました。そのケーブルが、データのやり取りという「論理的なルール」まで担っているとは、考えたこともありませんでした。
イーサネット(Ethernet)とは、同じ建物内や同じLAN内でデータを届けるための世界共通の通信ルールのことです。このルールによって、メーカーや機器が違っても同じLAN上でデータをやり取りできます。TCP/IPモデルのリンク層(ネットワークインターフェース層)・OSI参照モデルのデータリンク層・物理層で使われます。
イーサネットでは、隣の機器を特定するためにMACアドレスを使い、データは「フレーム」という形にまとめて送信されます。つまり、LANの世界で「誰に」「どんな形で」データを渡すかを決める仕組みがイーサネットです。
| 配送業者 | ネットワークでの役割 |
|---|---|
| 各配送センターでの配送ルール | イーサネット(Ethernet) |
| 次の配送先への宛先ラベル | MACアドレス |
| 荷物の形(箱のサイズ・伝票の貼り方) | フレーム形式(イーサネットフレーム) |
| トラックで荷物を届ける | 物理層(LANケーブル・NIC) |
イーサネットの規格は、ケーブルの種類ごとに定められています。
- 1000BASE-T → LANケーブルで1Gbps
- 10GBASE-SR → 光ファイバで10Gbps
このように、ケーブルによって「この速さで、ここまで届く」という基準が変わるのが、イーサネットの決まりです。
なぜメーカーが違っても通信できるのか
普段、スマートフォンやパソコンを選ぶとき、メーカーをあまり気にしていません。A社のスマートフォンと、B社のWi-Fiルーター、C社のサーバーが、当たり前のようにつながっています。
以前はメーカーごとに、独自の通信ルールで機器が作られていて、「A社の機器はA社の機器としか通信できない」というのが当たり前だったそうです。
これを解決したのが、TCP/IPモデルです。アプリケーション層からリンク層まで、それぞれの階層で「誰がどんな役割を担当するか」「どんな形式でデータをやり取りするか」というルールが、世界共通で決められています。メーカーがどこであっても、このTCP/IPという共通のルールに沿って機器が作られているからこそ、組み合わせて使っても問題なく通信できるのです。
配送業者の例えで言うと、A社の配送センターとB社のトラック、C社の受付窓口が、それぞれ別の会社であっても、同じ「配送業界共通のルール」に沿って動いていれば、荷物は問題なく届きます。
TCP/IPも同じで、住所の書き方(IP)、荷物の追跡方法(TCP・UDP)、荷物の手渡し方(イーサネット)まで、細かいルールがすべて共通化されているからこそ、世界中の機器が当たり前のようにつながっているのだと分かりました。
つまずいたポイント
- OSI参照モデルとTCP/IPモデルでは、階層の数と名前が変わって少し混乱した。
- 「UDPはいらないのでは」と最初は思った。
- 「エンドツーエンドの通信を確保する」と言われても、具体的に何のことかピンとこなかった。
- LANケーブルという「物理的なモノ」にも、通信のルールがあるとは驚きだった。
まとめ
TCP/IPモデルは、「TCP(データの品質管理)」と「IP(宛先までの経路決定)」という、通信の中でも特に重要な2つのプロトコル(ルール)から名づけられた、今のインターネットで実際に使われている4階層のルールです。
理論上の役割分担表であるOSI参照モデルの7つの役割は、実務向けにTCP/IPモデルの4つの階層(アプリケーション層・トランスポート層・インターネット層・リンク層)へと、削られることなくまとめ直されています。
配送業者の例え:アプリケーション層は依頼や伝票のやり取り(メールやWebページの閲覧など)、トランスポート層は荷物の追跡・品質管理(TCP・UDP)、インターネット層は届け先までの経路決定(IPアドレス)、リンク層は実際の受け渡しと配送手段(イーサネット)にあたります。
TCPとUDPは、どちらが優れているというものではなく、確実性を優先するか(TCP)、速さを優先するか(UDP)で使い分けられています。
また、通信の始まりから終わりまで、途中の中継機器を意識せず責任を持ってやり取りする考え方が「エンドツーエンド」でした。
そして、メーカーや機器が違っても私たちが当たり前のように通信できるのは、住所の書き方(IP)、追跡の方法(TCP・UDP)、荷物の手渡し方(イーサネット)まで、TCP/IPというルールが世界共通で定められているからです。TCP/IPモデルが「ただの階層図」ではなく、普段何気なく使っているインターネットを裏側で支えているルールなのだと、実感できました。
次回は、インターネット層の中心である「IPアドレス」について、学習していきます。

